Ryuji's room / 放射線科専門医 佐志隆士

アメリカ留学記 ~艱難辛苦の米国留学~

-悲しかったり、楽しかったり、いじけたり、頑張ったり-

25 State fair 州祭り

10月の末に、ターキさんにState fair に誘われました。一緒に行ったのは私だけです。

State fair は、仮設遊園地と農作物・家畜の品評会がある秋祭りです。私以外の欲深な留学生達は、自立心旺盛です。謙虚で、意気地なしの私だけが、最後の最後までターキさんに可愛がって貰えました。

“マジソン郡の橋”は、夫と子供たちがState fairに出かけている間のlove affairだったのではないかと思われます。この小説の中に、育てた子牛が賞のリボンを貰う話が出て来ますが、確かに、カボチャからヤギまで賞を取った作品には、ピンクやブルーのリボンがつけらています。

それから、沢山のコンサート、花火もあります。トラのショーも見ました。世界一小さな女とか、世界一大きな馬、頭が二つある蛇、足が6本ある牛とか、怪しげな見せ物小屋もあります。2ドルの料金で、年齢、体重、身長を当てる大道芸人がいました。間違えると、大きなぬいぐるみが貰えます。

私は、しっかり2ドル取られてしまいました。ヒッチコックの番組も、何度かstate fair を舞台にしていたことが判ります。

観覧車とかメリーゴーランドとかあるのですが、楽しそうな遊園地はすぐに無くってしまいます。

State fair会場は、ノースキャロライナの州都のラーリーにあります。ダーラムから車で30分程の所です。驚いたことに、広い会場敷地は年に10日程開かれるState fairのためだけに存在しています。おそらくこの時だけの荷物を運ぶための線路まで引かれています。

広大な土地が、ただ当然の米国の田舎で暮すと、日本のバブル経済の意味が良く判ります。土地の値段を法外に高くして、見掛け上、日本資産を増やして、皆が金持ちになったのです。

ターキさんは、特別サービスの缶詰めを幾つか買っていて、それを見せて6ドルの入場料の代わりにしています。異郷の地にあって、女手一つで二人の子供を立派に育て上げたターキさんの人生哲学の一部です。

ターキさんは、彼女が考えるところの最高のもてなしを私に一年余に渡ってしてくれました。時々は迷惑だったのですが、意気地なしの私が、沢山の米国文化触れ、大勢の人と交流することが出来たのはターキさんのおかげです。

夜遅くなり帰ることにしました。会場出口近くに、肖像写真を撮って、その場でプラスチックのプレートに入れてくれる小さな写真館があり、留学記念になるだろうと思って、私も作って貰うことにしました。米国人のように歯をだして、cheese(e:イー)と笑顔を作ってみました。

米国人の肖像写真の口元は、少し上がっています。悲しいかな、写真の中の私の口元は、少し下がっています。英語の発音が正しく出来ない日本人が、cheezeと言いながら写真を撮るのは間違いです。

因に、ターキさんが日本人の写真を撮る時は“お金持ち”と言わせて、素敵な笑顔写真を撮ります。

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