Ryuji's room / 放射線科専門医 佐志隆士

アメリカ留学記 ~艱難辛苦の米国留学~

-悲しかったり、楽しかったり、いじけたり、頑張ったり-

47 アイスクリームが注文できない。(>_<)

「ごきぶりホイホイのようなもの」を探して入った二軒目のマーケットは高級食材が売りのWellspringであった。 しかし、ここにも「ごきぶりホイホイのようなもの」は無かった。 
WellspringはDuke university south近くの小さなモールの中にあった。このモールの一角に“Ben & Jerry’s”という店があった。Dukeの美人女子大生が沢山出入りしていた。 私よりはるかに大柄な女子大生の群れは脅威であった。 アイスクリームのようなモノを売っている店だろうとはうすうすは気づいていた。アイスクリームは大好きである。しかし、初めての店には入るのは面倒くさいし、勇気がいる。 以前、ボストンでアイスクリーム・ショップに入った時のトラウマ*もあった。

アメリカ南部ダーラムはゴキブリが出現する程の暑さにすでになっていた。唯一やすらぎの砦である我がアパートにゴキブリ出現した絶望と暑さで、自暴自棄気味にもフラフラと“Ben & Jerry’s”に入ってしまった。 女性、もしくはカップルが、何人も列をなしていた。 私は全身全霊をあげて、前の客がどのように注文するか、耳をダンボにして聞いた。どうやら、アイスクリームを量は“スクープ”というらしい、しかし、それ以外はほとんど聞き取れない。壁にはメニュー板が掲げてあり、容器の種類にはカップ、紙コーンとワッフルコーンがあるらしい。
私はアーモンドが入りアイスクリームが好きなので、 Vanilla とアーモンド入りをone scoopずつ注文してみた。 バニラアイスクリームは食べることが出来たが、アーモンド入りとは別の種類のアイスクリームを食べさせられることになった。 まぁ“Ben and Jerry’s”に入り、アイスクリームを注文した自分の勇気には少しだけ満足したし、味は絶品であった。 しばらく“Ben and Jerry’s”で注文の挑戦を続けたが、望みのアイスクリームが出てくることは無かった。 私は潔く英会話は諦めて、“This one, This one”とケースを指差して、最後にワッフルコーンと付け足すことにした。 運用による対応である。 物事には、こだわらなければいけない事象**と運用で対応しても良い場合***がある。  


地球の歩き方によれば、ボストンの名物というとクラムチャウダーとアイスクリームとあった。 それだけアメリカには美味しい料理がないということである。 ボストンの宿泊先のホテルの近くの小さなアイスクリーム・ショップに、取り敢えず入ったときのこと、 客は私だけで少しほっとした。 店員は若い女性で、長い髪は栗毛色、優しく上品な顔立ちであった。 おそらくは良家子女のバイト大学生であろう。 何を、どのように注文して良いか判らないので、「バニラアイスクリーム」と言ってみた。 彼女は困惑している。 もう一度、大きな声で「バニラアイスクリーム」と言ってみた。 彼女はきれいな顔を曇らしてさらに困惑している。 しばらく、私も困りながらも「Banira ice cream!!」と連呼した。 しばらくして、彼女は小さなカップに入ったバニラアイスクリーム出してくれた。 あとで調べてみるとバニラはVanillaであった。しかも名詞にもかかわらず、アクセントは真ん中[ v n l ] 発音を聞く 、ジャパングリッシュが絶対に通用しないパターンである。 

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今は大学教授、アポロ11号の同時通訳で有名になった鳥飼久美子氏の米国ホームステイ体験記に書かれていた。話はうろ覚えである。  ホームステイ先の家人が彼女の何かの発音に毎回、微笑むの気づき、彼女が問い詰めると、「Kumikoの発音は外国人らしくて、とても可愛らしいのよと」慰められる。そこで彼女は、家人の前で、大泣きをしたという。「正しい発音を習いに来ているのでから、間違いは指摘欲しい」というのだ。 それ以来、家人は全ての発音を注意してくれるようになったという。 凄い話、凄い闘争心だと感心した。 

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以前Duke大学で学会発表のトレーニングを受けた時に、何度練習しても、“○○ years old、female”の“y”サウンドを発音出来ない外国人(日本人)がいたが、指導教官は“○○ aged, female”と訂正した。ようするにpractical に困らなければ気にしなくても良いのである。

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