Ryuji's room / 放射線科専門医 佐志隆士

コラム 音痴、運痴の概論―スポーツは体も心も傷つける―

スポーツではありとあらゆる外傷が高い頻度で生じます。ですからスポーツは危険です。大抵のスポーツは関節を酷使します。
各人の関節は一生に一個しか使えない部品で予備はありません。筋肉はある程度鍛えられますが、軟骨、靱帯、滑液包等はどうやら鍛えることは出来ないようです。

若いうちの軽度の損傷は修復するようですがあくまでも軽度の損傷です。頑張れば頑張るほど一個しかない部品をボロボロにしてしまいます。ですからスポーツは不健康です。

スポーツをして何処かが痛くなったら、まず休むことです。休んで治らないようだったらそのスポーツを止めてしまうことです。若いうちに何事であれ容易に止めてしまう習慣がつくと意志薄弱になってしまいますが、スポーツを無理に続けさせることも主体性を失わせる傾向があります。

自己実現の喜びをスポーツに見いだすことは素晴らしいことですが、スポーツは“勝つ”こと、即ち“自己の優位性を他者に見せる”ことに喜びを与えます。

スポーツに於て“人が本来もつ闘争本能”の昇華出来れば良いのですが、スポーツは他者を蹴落とすことに痛みを感じない精神構造を形成する傾向があります。

有名スケート選手が自転車競技のオリンピック代表に選ればれた影には、青春を自転車競技に捧げていた若者の一人が泣いていたはずです。敗者は卑屈になりがちです。私が良い例です。日本の高校野球はスポーツ障害の宝庫です。その中でも投手は肩を酷使し、痛めつけています。

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