Ryuji's room / 放射線科専門医 佐志隆士

ヘルムス夫妻、秋田での4泊5日の理由

1.第18回骨軟部放射線科診断セミナーの当番幹事になる

2005年の11月スポーツ医学界に参加した時に、長崎大学の上谷雅孝教授から2007年8月の骨軟部放射線医学セミナーの当番幹事になっていると教えられた。大変名誉なことであるが、忘年会の幹事でも、町内会の役員でも、一生懸命やっても文句を言われかねない。
上谷先生は「僕は、終わったもんねぇー」と涼しい顔をされている。「膝MRI」の著者で友人の新津守教授からは「いずれは当番幹事をやらされることになる」と言われていた。
私は温室育ちで、繊細で、不安神経症で、小心者だから“幹事”とかは自分からは買って出ることは無い。世の中にはこのようなイベントを苦もなくやってのける才能がある人もいる。
私の場合、まぁ、やれと言わると、かろうじて出来るが、小心者だから憔悴してしまう。
このセミナーは、フィルム・リーディング・セッション*と教育講演で構成されている。セミナーのテーマは「先輩から後輩へ伝える撮影・読影の基本」とした。
私が編集・執筆した「骨軟部画像診断の勘ドコロ」(Medical View社)の執筆者の先生達に教育講演を頼むことにした。
幸い、お頼みした先生は全員講演を引き受けてくれた。格上の先生にお願いするのは恐縮の至りであった。
ところで、このセミナーでは、しばしば外国人講師を招待する。私が米国留学した時の恩師であるHelms夫妻にお願いしようとすぐに思いついた。
留学中お世話になったことに対しての絶好のお礼の機会になるし、何よりも講演が素晴らしいからである。
Clyde A. Helms教授の「Fundamentals of Skeletal Radiology」(邦訳:骨関節画像診断入門)は世界中でベストセラーになっている。
奥様のNancy M. Major先生もバリバリのmusculoskeletal radiologistで英語も日本人にも分かりやすく、著作も多い教育者である。
セミナーの招待外国人講師としては申し分ない。おそるおそるメールをしたら、日本に来てくれると返事でホットした。
セミナーが近づくとヘルムス夫妻の旅程表が届いた、8月16日木曜日夕方秋田着?8月20日月曜日朝秋田発とある。
米国からわざわざ日本までくるので、てっきり東京とか京都とかにも行くのかと私は思いこんでいた。
ところが、ヘルムス夫妻はずーっと秋田にだけ滞在するらしい。(@_@;)(@_@;) 秋田で生活していると英語を話す機会は全く無いので、英会話の練習はまったくやっていなかった。
米国留学中に少しは身につけた英語力は完全に失われている。正直に言えば、英語での4泊5日の接待は辛いと思った。
日々の仕事に追われ、結局、必死に英会話の練習を始めたのは、ヘルムス夫妻が来日する一ヶ月前からであった。
選んだ教材は鵜田先生の30音英語リズム(DVD)である。
これは音声だけもダウンロード出来て、iPodで聞くことが出来る。朝から晩まで繰り返し聞いていた。何時もの“つけ刃、泥縄”であるが、私の芸風と言えば芸風である。
今までも何とかやってきたので、これからも何とかなるという甘い考えである。 

フィルム・リーディング・セッション*というのは確定診断がついている症例写真を各施設代表の回答者に読影して貰い、基本的には、所見を拾い、解釈し、診断にいたる過程をpresentationする。
知性を競う“当てっこクイズ”的の要素がある。放射線科医には大変勉強になる。北米放射線学会でのfilm reading sessionは素晴らしいが、Helms夫妻はそれぞれ回答者になった経験がある。

目次

  1. 第18回骨軟部放射線科診断セミナーの当番幹事になる
  2. ヘルムス夫妻、秋田に到着
  3. ヘルムス夫妻の講演
  4. ヘルムス夫妻と温泉に行く

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