Ryuji's room / 放射線科専門医 佐志隆士

アメリカ留学記 ~艱難辛苦の米国留学~

-悲しかったり、楽しかったり、いじけたり、頑張ったり-

43 本場アメリカでのプロレス観戦と気まずい思い

私はプロレス好きで、医局の高橋先生から貰ったマサ斉藤の「監獄固め」血風録をわざわざアメリカまで持って来た程である。
アメリカはプロレスの本場である。ケーブルTVでは放映が沢山あるらしい。しかし、アパートに入る時にケーブルTVに加入しなかった。というか、加入交渉を電話でする英語力が無かったのである。
Takiさんから借りたテレビで地上波放送のみを見ていた。新聞をとるようになったから、地上波でも週に二回はプロレスが見られることが判った。スポンサーがつかない日本と違って、沿岸警備隊がプロレス放送のCMを流しているのは吃驚した。無料で観ることが出来るプロレス放送は、善玉が悪役にやられてストレスがたまる。そこでPay Per View 1)で胸のすくような試合を放送するらしい。隣町の州都RaleighでWWF2)のプロレスの興業Smackdown!があることが新聞、テレビで宣伝していた。勇気を振り絞って観戦に行くことにした。
Raleighには映画Star Wars Episode Iを観るために何度も通っていたので、私の運転でも大丈夫だろうと高を括っていた。ところが高速を降りた所から予期せぬ車の渋滞がはじまっていた。危うく追突・大事故になるところだった。おかげでプロレス会場のアリーナ3)までは、私でも迷わず到着した。アリーナの外には、柄の悪そうな人達が沢山集まっていて、試合前から数人の黒人達が興奮して騒いでいる。当日券を買いに行くが、どの列に並んだら良いのか判らない。白人の若者から“お前は一人か?なら安いチケットを一緒に買おうぜ!”と言われた(らしい)。どうやら四枚だと安いとかそういうシステムらしい。喧噪もあり、英語もほとんど聞き取れなかったが、どうやらだまされた訳では無かった。

ザ・ロック4)、ジ・アンダーテイカー5)、チャイナ6) 等の有名プロレスラーを生で見ることが出来た。また日本人のFunakiとTakaみちのくのタッグ・チームが登場した時は、思わず愛国心が沸騰したが、善戦の末負けてしまった。休憩時間にハンバーガーを買って来て、自席のすぐ上にあるバルコニーのような見晴らしの良い処で食べていた。此処にいるのはまずいかな・・・と、薄々思っていたら、やはり“ここは俺たちの貸し切りだから出て行ってくれ”と言われてしまった。大変、丁寧な口調ではあった。そこにいる人達に不愉快な思いをさせてしまった。Sneaky(ずるい)な日本人をやってしまって、私し自身も大変気まずい思いをした。留学期間中でも思い出したくない出来事の一つである。
良くも悪くもプロレス会場は愛国心に満ちあふれた場所であった。試合が終わるとアリーナの外は暗く、到着した時とは別世界のように思われた。自分の車が何処にあるかも判らず、探すのにも苦労した。渋滞はさらにひどく、その上、道にも迷ってやっとの思いで帰宅した。留学前から本場のプロレスを一度は見ようと決心していたので、それなりに自分の行動力に満足した。良い経験をしたと思う。

1) Pay Per View: その都度、有料で視聴するケーブルTV番組。私のテレビは地上波なので見ることが出来なかった。

2) WWF World wrestling federation 2001年に世界自然保護基金:world wide fund for natureに名称を変える訴訟を起こされ敗訴後、WWE (World Wrestling Entertainment)に変更。プロレスが自然保護団体に勝てる訳がない。 プロレスの人気は高いが、最低俗のものとされている。 私は、弱い立場の芸人にやらせる“いじめ”的バツゲームの方がよほど低俗であると思う。昔、ビートたけしがその弟子にTV番組でやらせていた。日本人が持つ最も低俗な感性を惹起させ、波及させた。国際的には容認されない種類の“笑い”だそうである。

3) アリーナ:バスケットボール、アイスホッケーを行う室内競技場。数万の観客席を持ち、コンサートやプロレス会場にも使われる。

4) ザ・ロック:映画ハムナプトラ2の主役(黒人)。ザ・ロックの得意技はピープルズ・エルボー:何故かリングを走って往復、その後でエルボー・ドロップをする。(:~_~:) ザ・ロックのお父さんはロッキー・ジョンソンというプロレスラーで、私が高校生の時に来日している。テレビで観たお父さんのドロップキックには感動した。

5) ジ・アンダーテイカー: 強い!日本でも有名?知ってる人は知っている。知らない人は覚えてね。

6) チャイナ(Chyna):この時、初めてその存在を知った。女子だが普通に男子と試合が出来る(男女平等)。日本以上に、米国では中国(China)は大きくて“変”と思われている。

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