Ryuji's room / 放射線科専門医 佐志隆士

アメリカ留学記 ~艱難辛苦の米国留学~

-悲しかったり、楽しかったり、いじけたり、頑張ったり-

34 Mac、Bou-nen-kai、大晦日

スコット一家はユダヤ人なのでクリスマス・パーティはやりません。
暖炉の上の時計の針は12時4分です。 晴れて2000年です。
西暦2000年問題も無く、淋しくも無く、新年を迎えることが出来ました。

Mac PowerBook G3を抱えて駐車場と図書館を往復するのは大変なので、思い切ってもう一台PowerBook G3をDuke大学の売店で購入した。

アパートに今の一台を置いて、もう一台はDuke大学図書館のロッカーに置けば良いと考えたのである。
日本語System OS 8.5を日本から持って来ていたのでそれをインストールすれば良いと安易に考えていた。
しかし新しいMacは日本語OSを受けつかなかった。インターネットで「マック診療室」*というpageを見つけた。
どうも私のような人のために相談に乗ってくれるらしい。質問メールをしたらすぐに返事が来た。「・・・基本的には、そのMacを購入したときにインストールされていたOSのバージョンよりも古い日本語OSはインストールできません。従って、解決策は日本語Mac OS9を入手しインストールすることです。・・・」。
質問は有料とされていたが、お金は請求されなかった。世の中には奇特な人もいるものである。さて日本語System OS 9.0であるが、U.S. FrontLine*という日本製品を売る通販を見つけて無事209ドルで購入することが出来た。
日本で購入するより高いが、背に腹はかえられなかった。日本から持って来たファイル、アプリケーションの移行もほぼ丸一日費やして無事完了した。

Duke大学の売店で購入したMac、イルカのシールが貼ってある。現在も使っている。
当時のE-mailや日記も読める。 
キーボードが壊れた時は、売店に相談したら、すぐに購買記録を調べてくれて、紹介された修理部部門ではとても親切に直してくれた。
南部田舎町の人はみんなとても親切だった。
日本から持って行ったMacとデジカメ
Duke medical centerのシールが貼られている。 双方ともに使っていないが壊れていない。
想い出があってとても捨てられない。

日本から買って来たものと言えば、デジカメがあった。リコーRDC-5000というデジカメを渡米直前に購入した。接写に強く、230万画素で当時としては高級機種であった。
撮影写真をPowerBook G3に保存出来ることを確認してから米国に来ていた。こちらに来てから、半分ノイローゼのためか、デジカメは全く使っていなかった。執筆していた教科書“肩関節のMRI ”のために、Duke大学症例MRI写真をデジカメで撮影する必要が出てきたので、撮影練習を開始したのだが、撮影dataの入ったフロッピー・ディスク・アダプターをPowerBook G3が受けつけない。
困り果てて、リコーのお客様相談室にメールを出したら返事がすぐに来た。 「・・・一部のPowerBook G3シリーズでは、拡張ベイが左右に2つのモデルがあります。このモデルでは、右側拡張ベイにフロッピーディスクドライブに装着されたもののみ動作します・・・」。いつの間にか左右が逆になっていたのである。
日本にいてもパソコン関係のトラブルは大変であるが、お助けマンが大抵見つかる。留学中は孤立無援で真っ青である。薄氷を渡る留学生活であった。

12月に入り、米国に来てから半年が経ち、Duke University Medical Centerの読影室にいても疎外感が少し薄らいで来ていた。みんながRyujiと呼びかけてくれる。逆に言えば、ろくに英語も喋れない背の低い東洋人が職場にうろうろしていることはさぞや目障りであったと思う。
私も針のムシロの半年間であった。12月の末と言えば、日本では忘年会シーズンであるが、日本通のDuane が友人を集めてタイ料理の店でBou-nen-kaiを開いてくれた。おみやげつき参加費20ドルであった。
大晦日は小児麻酔科医のスコットが新年カウントダウン・パーティに招待してくれた。ポッド・ラック・パーティ*で、私はだし巻き玉子を沢山焼いて参加した。森の中にスコット先生の家はあったが、森の入り口に銀色の風船が結ばれて上がっており、それが目印であった。目に焼き付いている。


*「マック診療室」は今でもインターネット上で見ることが出来ます。何故か2003年以来更新されていません。 
* 現在は、U.S. FrontLineの中に富士山.コムがあり、通販で日本商品がアメリカ・カナダで購入出来る。 
* Ryujiは欧米人に発音しにくいらしい。
* ポッド・ラック・パーティ(potluck party) :ありあわせの料理を参加者が持ち寄って行うパーティ

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