Ryuji's room / 放射線科専門医 佐志隆士

アメリカ留学記 ~艱難辛苦の米国留学~

-悲しかったり、楽しかったり、いじけたり、頑張ったり-

27 感謝祭

10月の末にハロウィーンが終わったかと思ったら、11月第4木曜日は感謝祭です。この木曜日から日曜日までは4連休で、日本のお盆のように家族が実家に集まる習慣があります。

感謝祭は、お客様のお持て成しをする習慣があります。我々のようのような淋しい外国人をも招待してくれる家庭もあります。「良きアメリカ人」です。留学する前年、感謝祭の時に、Takiさんの家にhome stayをしていたおかげで、午後、夕方と招待のはしごをすることが出来ました。

一軒目は美容形成外科医のゴルフ場の中にある大豪邸です。なるほど美人のお嬢さん方も里帰りしていました。

里帰りをしていない有名大学に行っている息子の写真も含めて家族の写真が居間に置いてあるのはいかにもアメリカ的でありました。

ゴルフ場の中に家を持つのがstatus symbolなのだそうです。米国では収入の多寡によって居住区が決まります。その方がお互いに気楽なのです。その後も経験したことですが、家庭に招待されると全ての部屋を見せて貰えます。ピアノやオーディオの置かれた音楽部屋とかマシーンが揃ったジム部屋とか驚きでありました。

感謝祭には、特別の持て成し料理があって、七面鳥の丸焼き、パンプキンパイの自慢の家庭料理があります。米国は土地が広いので、大豪邸も日本より、はるかにお安く手に入るのです。

日本人が「ウサギ小屋に住む」という意味を実感出来ました。土地に関しては、逆立ちをしても米国に勝てません。全ての建物は土地の上に建てられるのですから、日本はこの点で大変なハンディキャップを背負っています。

ゴルフ場からマクドナルドまで、土地価格の分だけ米国の方が豊な生活が出来る訳です。二軒目は、留学中も大切にしてくれた小児麻酔科医Scottさんの家に招かれました。

そこではテーブルを囲んでの夕食でしたが、Duke大学の様々な学部の先生達が集まっていました。何やら大笑いをしていましたが、留学前でもあり、彼らの「英会話」は全く理解出来ませんでした。

Takiさんの家に帰宅後、「日本の歯医者は、患者の頭を殴って気絶している間に歯を抜く」という話をして、笑っていたのだと教えられました。(:~_~:)私も勇気を振り絞って、「Duke大学チャペルのパイプオルガンの音色が素晴らしかった」と英会話に参加してみました。

ところが、皆さん何故かシラーットしています。

招待客の教授の一人が、「一度も行ったことがない」と喋ってその話題は終わりになりました。

その後の留学中に、TakiさんからScottさんはユダヤ人であることを知らされました。彼らは全員、キリスト教のチャペルに行くはずもない敬虔なユダヤ教徒だったのです。(>_<)

*感謝祭(thanksgiving day):、イギリスからアメリカ大陸にやって来た人達が原住民のインディアンに助けられたことに感謝して、収穫の季節にお礼をしたことに始まる、北米独自のお祭りとのことです。

**美容形成外科医(cosmetic plastic surgeon):南部の田舎町Durhamではめずらしい。ニューヨークなどの大都会では脂肪吸引術、豊胸術等、日本より手術が盛んとのこと。

***チャペル(chapel):Duke大学キャンパスの中央にレンガ作りの素晴らしいchapelがありました。そこのパイプオルガンの素晴らしい音色は、私の全身を包み込み、鳥肌が立ちました。

≪このページのトップへ戻る≫